3.上を向いて歩こう       4才

これは中村八大作曲の名曲中の名曲。
小室哲哉がこんな曲は僕には書けない、と言ったようにきわめて自然なメロディなのにコード進行を感じさせない。しかし、コードはいたってモダンである。ジャズというより、ゴスペルか、ソウル、R&Bの匂いがある。

うえをむいてあるこう   なみだがこぼれないように
C|Am|C|Am|    C|C/B|Am|F/G|
おもいだす はるのひ   ひとりぼっちのよる
C|Dm|Dm|E7|   C F|EmDm|C F|EmDm|
しあわせはくものうえに  しあわせは そらのうえに
F|F|Em|Em|    Fm|Fm|EmA7|DmG7|


うーん、なんとも悲しい歌だ。「見上げてごらん・・」で言った通り、悲しいけれどがんばっている姿がここにある。サビの後半で一瞬、悲しみが吹き出そうになるが(Fm)すぐ立ち直る。悲しみを打ち消すように2ビートに乗って大きく手を振って歩く姿が目に浮かぶ。
(C F Em Dm)この進行が大好き。今まで40年、この進行の曲は色々聞いてきたが、この曲のここが原点であり一番好きかも。センチメンタルだが、メロとコードの関係は小室が言うように、やたらカッコいい。レイチャールズしてる。でも悲しい。これも人生の苦渋を感じずにはおれない。こんな明るい脳天気な進行なのに。これはマネできない。

しかし、さらに深く記憶をたどると、実はこれは西部劇に通ずる。別の機会に西部劇音楽の魅力については語りたいが、この、「ひとりぼっちのよる」というくだり、歌ってみると、とあるテレビ番組のテーマを思い出す。そう、「ララミー牧場」だ。ホーギーカーマイケル作曲のララミー牧場のテーマ。ひとーりぼおっちのよる〜ラーラミ〜(C F Em Dm)、と続けても違和感がない。特に「ぼっちの」「ソミドラ」という下降ラインとEmDmのコードにララミーとの共通性があり、上を向いてパッカパッカというムードが垣間のぞく。
調べてみると、中村はホーギーをずいぶん研究した節があり、実際尊敬していた、という事実がある。しかし、私の中での結びつきはその事実とは関係ないが、私はララミーのテーマも大好き。
西部劇音楽の特徴にサブドミナントの使い方というのがある。これはフィドルの弦の音程差から来ていると思われるが、このCとF(サブドミナント)の関係はアメリカ音楽に根強く残り、特にロック、ソウルに影響を残している。という意味ではソウルっぽいというのは当たっている。

あたまのC Am C Amもソウルしてる。ブルージーだ。しかしその後、ベースがC B A Gと降りてくるところが素敵。しかも最後のGは G分のF(F/G)だ。
実は見上げてごらん・・にも紹介したくだりのすぐ後にF/Gが出てくるのだけれど、上を…の方がサウンド的には焼き付いている。F/Gという分数コードはこの曲の後は 13歳の時のキャロルキングまで、10年間出会えなかった。(しかしそのコードをピアノで弾けたのはさらにその4年後である)中村八大の先進性と、それに影響されてそのコードを心の奥底で鳴らし続けてきた自分との明らかな出会いがこの曲にはある。


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