ブルーノートからリリースされたマリーナ・ショウの最高傑作。 全編ラブ・ソングだが、内容は一曲一曲かなり濃い。このアルバムの聴き方としては、もちろん、マリーナ・ショウのソウルフルで優しいボーカルに涙するもいい。チャック・レイニー、ハービー・メイソン、デビッド・T・ウォーカー、ラリー・カールトンのうねるリズムに身をゆだねるのもいい。しかし、その辺は語りつくされているので、極私的なコメントをさせていただく。
ひとつは本題とちょっとはずれるが、全編にフェンダー・ローズの魅力があふれている。弾いている人はLARRY NASHといってLAエクスプレスなんかでやっていた名脇役。特に2曲め「You Taught Me How To Speak In Love」。出だしの2つのコードだけで、グラグラッと来る。ローズはこう弾いてくれなきゃという芳醇なボイシング。もうこの2コードだけで、胸キュン(古い)のこの曲のムードを決定づけてしまう。
もうひとつはタイトルの1曲、「A PRELUDE FOR ROSE MARIE」なのだが、この曲は小編成のオーケストラで奏でられ、歌はない。 Byron Olsonというアレンジャーのペンによる短い小品なのだが、木管とハープ、ストリングスが実に気持ちよく絡み合い、現代クラシック、ジャズがほどよくミックスされた映画音楽のようなムードを作り上げている。
「他の女に走った夫と別れ、都会の生活に疲れたメリル・ストリープ扮するキャリアの女性が6才の娘を連れて、駆け落ち同然で飛び出たキャサリン・ヘップバーン扮する母親の住むセントルイスの片田舎へ、母との関係を修復しようと帰ってきたところ、母はすでに病魔に侵され娘の顔も思い出せない。悲嘆にくれた女は幼い頃に母親と一緒に宝石箱を埋めた場所に娘と一緒にたたずむ。無邪気にも娘は掘ってみようと言い出すが、女はそれを思い出したくない。そこには既に誕生日に母親からもらったプローチが入っていないことを知っていたからだ。母親との関係が悪くなった17才の時に、女は宝石箱を掘り出し、ブローチを母親に投げつけた。今となっては悔やまれる事件だった。もう謝ることはできない。しかし、娘は掘り出してしまった。娘は宝石箱の蓋をあける。すると、ブローチはなぜか中に入っていた。“I love You.”というメッセージと一緒に…・」
(架空の映画です。即興でつくりました。)
みたいなシーンで流れそうな音楽。こういうのもう、本能的に好きなのよね。で、この曲が終わると、かぶってシャッフルのリズムが軽快にFADE INしてくる。(ROSE MARIE)この入りもたまらなくて、まるで、映画のエンドシーンにスタッフ・ロールが下からスクロールしてくる感じ。
4年ほど前、ロサンゼルスに出張した時、このアルバムをテープにダビングして持っていった。スケジュールのちょっとあいた朝、ビーチシティのヒルトンホテルから、目の前の砂浜へちょっと出て、ジョギングする市民を遠くに見ながら、砂浜に寝っころがってこれを聴いていたら、当然ながら、あまりにもびったりだった。